ロシア語反切表（第6話）

ロシア語の正書法の規則で厄介なのが，発音は硬音なのに文字が軟音だったり，逆に発音が軟音なのに文字が硬音だったりする箇所です。

反切表を見ると……3箇所。意外と少なかったわね。

発音上は硬音のыでも，文字は軟音のиで書く組合せがжиとшиですね。

逆に発音上は軟音のя, юでも，文字を硬音のа, уで書く組合せがща, щуとча, чуなのね。

ところで，第4話でアクセントのないяについて話しましたね。

アクセントのある母音より前にあるяは，ヤーではなくて弱いイになるんでしたね。

反切表ではщаとчаにアクセント記号を付けていますが，実態はщяとчяなので，アクセントが脱落すると「シ」や「チ」のように変音するんですね。

例えばчасは「時」という意味だけど，母音が1個しかないからアクセントはаにあって「チャース」と発音するのね。これが複数形のчасы（時計という意味にもなる）になると，アクセントがыに移動するので「チスィー」と発音するのね。

知らないと強烈な不規則発音に思えてしまいますが，実態がяだと理解していれば規則的な発音変化とみなせますね。これはぜひ覚えておいてください。