宇宙の共通語(物理が理解できる単位のお話・第14話)

数学/Math物理/physics
アルド
アルド

第13話では質量と重量……「キログラム」と「キログラム重」の違いを学びました。しかし「キログラム重」は場所により異なるため,毎回のように場所を指定しなければなりません。

ミライ姐
ミライ姐

単に28キロといっても,質量が28キロなのか,地球上で28キログラム重なのか,月面上で28キログラム重なのか……いろいろなパターンを想定しなければならないのね。

アルド
アルド

第9話で加速度の話をしました。地球でも月でも,天体上から物を落とすと地面に引っ張られます。このときの落下速度は一定ではなく,地面に近づくにつれて速度が大きくなります。

塾生
塾生

加速度の値は?

アルド
アルド

同じ地球上でも緯度により若干異なりますが,標準値としては正確に9.80665m/s2とすると定められています。通常の計算では9.8を使いますし,簡易計算では10を使うこともあります。この加速度のことを地球の「重力加速度」といいます。

塾生
塾生

そうすると,体重が地球の6分の1になる月の重力加速度は,9.8÷6で約1.6m/s2ですね。

アルド
アルド

そうですね。さて,質量に重力加速度をかけると,単位はどうなるでしょうか。

塾生
塾生

キログラム(kg)とメートル毎秒毎秒(m/s2)だから,キログラム・メートル毎秒毎秒(kg m/s2)でしょうか。

アルド
アルド

その通りです。例えばミライ姐の体重は,質量では自称28キログラムですね。これに重力加速度をかけると,
28kg×9.8m/s2=274.4kg m/s2
という値が出てきます。これはどんな意味を持つのでしょうか。

塾生
塾生

ミライ姐さんが地球に引っ張られる力です。

アルド
アルド

そうですね。詳しくは高校の物理の範囲ですが,質量と加速度の積は「力」を表します。また,このkg m/s2という単位を毎回喋ったり書いたりするのは大変なので,別名としてニュートン(newton)と呼びます。

ミライ姐
ミライ姐

ニュートンはイギリスの科学者で,りんごが木から落ちるのを見て,万有引力の存在を発見した逸話が有名ね。ちなみに,人名に由来する単位は大文字で書くのが一般的で,ニュートンの単位は大文字でNになるわよ。

アルド
アルド

逆に,人名由来でない単位は一般に小文字です。特にキロは小文字ですよ。例外としては100万倍を意味するメガのMや,これより大きい接頭語があります。また,リットルは小文字のl(エル)が正式ですが,数字の1(イチ)と紛らわしいため,大文字でLと書くほうが主流です。

塾生
塾生

つまり,ミライ姐さんが地球に引っ張られる力は274.4ニュートンです。

ミライ姐
ミライ姐

ニュートン表記だと数字が大きくなって嫌ね。月面上での体重は28kg×1.6m/s2=44.8Nになるのね。これなら恥ずかしくないわ。

アルド
アルド

体重が恥ずかしいかはともかく,1ニュートンとは「質量1キログラムの物体に1m/s2の加速度を生じさせる力」を意味します。星によって重力加速度の値は異なりますが,ニュートンで表せば,どこの星でも力の大きさは同じ基準で表せるのです。

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