20世紀の中頃はアメリカとソ連による東西冷戦状態でした。宇宙開発は軍事的にも有利になることから,両国による熾烈な技術競争が繰り広げられていました。
1969年7月20日にアームストロング船長たちが人類初の月面着陸を果たしました。
That’s one small step for a man, one giant leap for mankind.
(一人の人間にとっては小さな一歩だが,人類にとっては大きな飛躍である)
すごい!
その後も何度か月面着陸が行われました。ところで,宇宙飛行士が月面を歩いている映像を見たことがありますか。
飛び跳ねている姿かなあ。月のうさぎみたいにぴょんぴょん跳ねていました。
月では体重が軽くなるのよね。
月面上で体重計に乗ると,地球での重さの約6分の1の値を指します。例えばミライ姐の体重は自称28キログラムなので,月で体重計に乗ると約4.7キログラムになりますね。
不思議だなあ。
体重計以外にも重さを測る道具がありますね。例えば理科の授業では上皿天秤(うわざら・てんびん)を使いますね。
素手で分銅(ふんどう)を触ってはいけません。
人が乗れるほどの大きな天秤があれば,地球上でも月面上でも,同じ重さの分銅で釣り合います。
どうしてだろ。
天秤は左右に同じ重さが乗ることで釣り合うわね。測定対象も分銅も,月面上では同じように軽くなるので,結局は釣り合うのよ。一方,体重計が示す値は地球や月が人を引っ張る力を数値化したものね。支えがなければ物体は地面に引っ張られて,地面に落ちるわよね。
月や地球に限らず,あらゆる物質間には引っ張り合う力が働いています。一方が天体のように巨大だと,小物体が大物体に引っ張られるのですね。これが,物が地面に落下する仕組みです。
引っ張る力は重いほど強いのね。地球は月の6倍の重さなので,引っ張る力も6倍です。
月では地面に引きつけられる力が6分の1になるということですね。
そうですね。ところで,体重計と天秤では,設置場所により異なる値を指すことになります。
それらの値を区別する単位があるんですね。
体重計での測定値の単位は「重量キログラム」「キログラム重」と呼びます。ミライ姐は月面上で4.7キログラム重の体重になるのですね。これはミライ姐が月の地面を押す力でもあります。
宇宙服着ないで測るなんてすごい!
こらこら。
一方,天秤での測定値の単位は単に「キログラム」です。
日常ではどちらも「キロ」と言うことがあるけど,物理の世界では「キログラム重」と「キログラム」は区別するのね。
ちなみに「キログラム重」で表される「重さ」を重量(weight)と呼びます。一方「キログラム」で表される「重さ」を質量(mass)といいます。
重量は地面を押す力(force)でもあるのね。なお,キログラム重の単位はforceやweightの頭文字を使って,kgfやkgwと表記することがあります。
日常ではどちらも「重さ」ですが,物理の世界では重量と質量は別物なのです。理学部学生時代の私は真面目に使い分けていましたが,工学系ではあまり気にしないようです。私もメーカーの技術部門に13年いる間に,工学部出身者の癖が伝染したようです。
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