第3話では体積の話をしましたが,今回は重さの話をしましょう。体積は日常語では「大きさ」を数値化したもので,立方メートルやリットルなどの単位で表しましたね。重さと大きさは異なる概念です。
あたしの体重は仮に28キログラム……かしら?
大人なのに,いくらなんでも軽すぎですね。このように,体重などでおなじみの単位であるキログラムが,国際標準として使われています。
2018年までは「国際キログラム原器」という人工物の重さが1キログラムと決められていたわね。現在では物理定数によって厳密に決められているのね。
古くは1リットルの水が1キログラムの重さとされていました。近似値としては問題ありませんが,水の重さは温度と圧力により変動するため,科学技術の世界では厳密性に欠けます。なお,1リットルが1キログラムなのは水だけです。アルコールや灯油は違います。
キロは1000倍の意味ですよね。キロを取った「グラム」が標準ではないのですか?
キロのつかない「グラム」が先にできたのですが,身近な重さを測る単位として,キログラムが標準になりました。
グラムは身近なものの重さを表すのによく使うわね。もっと軽い,薬品のようなものはミリグラムで表すわね。
キログラムの記号は小文字でkgです。グラムは1000分の1キログラムで,小文字でgと書きます。
逆に言えば,1キログラムは1000グラムですね。
1000分の1グラムであるミリグラムも小文字でmgと書きます。
栄養ドリンクの成分は,意図的に1000ミリグラムや2000ミリグラムと言うわね。
グラムで言えば1グラムや2グラムなのに,ミリグラムで表すと多く感じます。
一方,1000キログラムのことを1メガグラム(単位は大文字のMと小文字のgでMg)と言いますが,こちらは1トンと呼ぶほうが一般的です。単位は小文字1文字でtですが,工業の分野では板厚(英語でthickness)のtと区別して,tonと表記する場合もあります。
ボクシングでは体重をポンドで表します。キログラムとはどう違いますか。
ポンドは英米の伝統単位です。伝統単位は英米だけでなく,日本にもあります。習慣的によく使われるものもあるため,第11話で取り上げましょう。
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