第10話では国際標準の重さの単位としてキログラムを学びました。しかし,世界各国には伝統的な単位が元々あり,生活に根ざした身近なものとして,長く親しまれて来ました。
英米ではヤード・ポンド法という単位系が,今も使われていて……大事なことなので,もう一度言うわよ……今も使われているのよ!
重さの基本はポンドという単位で,これは1人が1日に消費する大麦の重さに由来します。1ポンドは約453.6グラム,正確には0.45359237キログラムです。
ちなみに,中国語では500グラムのことを1斤(jīn)と言います。これくらいが,人類にとって把握しやすい重さのようで,一般に成人は約400グラムで満腹になるそうです。
ポンドの記号は小文字でlbと書きます。英語のpoundとは1文字も一致していませんが,これはラテン語のlibraが由来です。十二星座のてんびん座のこともlibraといいますね。
日本の伝統単位では,重さはどう表しますか?
日本の伝統的な単位系は「尺貫法」と呼びます。重さの基本単位は貫(かん)で,1貫は正確に3.75キログラムです。
時代劇で小銭の穴に糸を通してまとめて携帯しているシーンをよく見るけど,小銭1000枚の重さが1貫というのが由来のようね。
お寿司じゃないんだ。
お寿司の1貫は1個か2個か,そもそもなぜ貫と呼ぶのかは諸説あります。
話を戻して,小銭1枚の重さは1貫の1000分の1ですね。この重さを1匁(もんめ)といいます。1匁は3.75グラムですね。現代では,五円硬貨の重さがちょうど3.75グラムです。
はないちもんめ!
『花一匁』という童歌ですね。花の価格が銀1匁ということです。3.75グラムの花ではありませんよ。
これらの伝統単位は,日本の法律上は商取引に使ってはいけないのよね。
計量法という法律により,商取引ではメートルやキログラムなど国際標準の単位を使わなければなりません。ただし,真珠の取引に限っては,ひらがなで「もんめ」の使用が認められています。
しかも,日本だけでなく全世界で,真珠の取引はmommeで行うのよね。日本が誇る世界共通語だわ。
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