第8話で速さ(速度)について学びましたが,現実に私たちが移動する場合,速さは一定ではないですね。
道路では信号に止められ,電車は駅ごとに停車します。
私たちが現実に移動する場合,一定の速さで動くこともあれば,完全に止まることもあります。さらに,止まるためには減速しますし,再び動き出すときは加速しますから,速さは少しずつ変わります。
算数で習う「きはじ」の式は,厳密には一定の速さで動いている時にしか使えないのね。
もちろん,平均の速度とすれば日常生活で使うのは差し支えありません。
加速や減速の大きさを表す方法はありますか?
速さ(速度)の単位にはキロメートル毎時(km/h),メートル毎分(m/min),メートル毎秒(m/s)などがあります。忘れた人は第8話でもう一度復習しましょう。
加速中や減速中は,速さが徐々に変わっていくのね。
例えばm/sで考えてみましょう。加速中は1秒ごとに速さが上がっていきます。仮に1秒ごとに1m/sずつ増えていくとすれば,加速の大きさをどのように数値化できるでしょうか。
まさかm/sをsで割るのですか?
そうです。計算すると分母はsを2回かけた値なので,単位はm/s2のように,sの右肩に小さく2を載せます。読み方は「メートル毎秒毎秒」です。
右肩に書くのは面積のm2や体積のm3と同じ要領ね。厳密にはm s-2と書くのは速度の場合も同様ね。
メートル毎秒毎秒で表されるものを,物理の世界では加速度といいます。もちろんキロメートル毎時毎時やキロメートル毎時毎秒などという単位も考えられますが,いずれも「速度÷時間」で表されます。
加速度があるなら減速度は……もしかしてマイナスですか?
加速度がマイナスなら,一定の割合で速さが減ることになります。減速度と呼ぶこともあるようです。
高校の物理では,加速度が一定の動きを式に立てて計算します。例えば電車が動き出して,加速後は一定速度で運転して,ブレーキをかけて止まる……その所要時間や移動距離など,計算は大変ですよ。
なお,加速度が時間に応じて変化する場合も理論上は考えられます。加速度に対して「加加速度」といいます。
そんな計算もあるのですか?
加速度が変化すると,乗り物に乗っている人は気分が悪くなり,設備そのものがダメージを受ける場合があります。乗り心地や耐久性を試験するために使うことはあるかもしれませんが,そもそも私は大学の理学部基礎科目の物理の授業で「加加速度は存在しない」と聞いた記憶があります。
現代は高校での物理の履修割合が低いみたいだけど,加速度までは全員が知っておくべきだと思うわ。
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