まずは小学校の算数で習った「距離」「時間」「速さ」の関係を表す式を思い出してみましょう。
きはじ!
あたしは「木の下に爺さん婆さん」と習ったわ。上段に距離の「き」を,下段左に時間の「じ」を,下段右に速さの「は」を書くのよね。左右は逆でもいいけど。
求めたい文字を隠すと,残った2文字の位置関係から,割り算なのか掛け算なのかが分かって便利です。
第1話で長さ(距離)を表す単位を,第4話で時間を表す単位を学びました。速さ(速度)の単位はどうなるでしょうか。
自動車のスピードは「時速何キロ」と表します。
そうですね。「速さ」は英語でスピード(speed)です。自動車のスピードは,正確には「キロメートル毎時」という単位です。1時間で何キロメートル移動するかを表すのですね。
歩く速さの場合は,1分間または1秒間に何メートル移動するかを表す「メートル毎分」「メートル毎秒」という単位を使うわね。例えば「駅から徒歩5分」のような不動産の広告をよく見かけるけど,一般に80メートル毎分として計算するので5×80,つまり駅から400メートル歩いたところにあるという意味ね。
キロメートル毎時の単位は,厳密にはkm s-1と書きますが,一般的にはkm/hと表記します。メートル毎分も同様にm min-1またはm/minと表記します。メートル毎秒はm s-1またはm/sですね。右肩の-1やスラッシュ(/)は,割り算(分数)を意味します。
割り算だから「キロメートル÷時」「メートル÷分」「メートル÷秒」ということね。単位を見れば計算方法が分かるわね。
「距離」と「速さ」が与えられて「時間」を求めるときは,例えばkmとkm/hが与えられて,hを作るには……
km÷km/h=km×h÷km=h
つまり「距離÷時間」ですね。
「きはじ」は便利ですが,単位を揃えなければなりません。距離はmありkmあり,時間はhありminありsあり……揃えなければ「きはじ」を使っても間違った値が出てきます。
「きはじ」の選択は正しいのに,単位が揃っていなくて間違えた経験があります。次からは気をつけます。
ちなみに,日常生活では「速さ」と「速度」は同じ意味ですが,物理の世界では速さ(speed)は向きとは無関係な値で,速度(velocity)とは向きを含めた値です。
物理の問題を解くと,速度がマイナスになることがあるけど「逆方向」という意味なのね。
そうですね。向きがあるので速度はマイナスの値を取り得ます。しかし速さは向きとは無関係な値なので,マイナスになることはありません。小学校の算数で計算するのは「速さ」なので,必ずプラスの値ですね。
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