アルド
前回はサンスクリット語と仏教の関係について話しました。日本には仏教を通して多くのサンスクリット語が取り入れられています。文字を見る機会も多いですね。
ミライ姐
梵字ね。
アルド
現在サンスクリット語は,ヒンディー語と同じデーヴァナーガリー文字で書かれることが多いです。例えばインドの紙幣には17言語で金額が書かれていますが,そのうちのひとつがデーヴァナーガリー文字で書かれたサンスクリット語です。
ミライ姐
昔からそうなの?
アルド
そもそも,サンスクリット語には文字がありませんでした。文法研究は紀元前から盛んでしたが,すべて口伝でした。
ミライ姐
グプタ朝の時代に大乗仏教の経典がサンスクリット語に翻訳されたけど,この文字はデーヴァナーガリー文字なのかしら?
アルド
この時代にはまだデーヴァナーガリー文字は使われていませんでした。現在お寺などで見る梵字は悉曇(シッダン)文字と呼ばれるものです。
塾生
デーヴァナーガリー文字とは似ていますが,違いもあります。
アルド
悉曇文字からデーヴァナーガリー文字が発展していったようです。デーヴァナーガリー文字の誕生はおよそ10世紀頃と考えられています。サンスクリット語がデーヴァナーガリー文字で書かれるようになったのはその後のことですね。
塾生
サンスクリット語は古典文章語として有名ですが,無文字時代が長かったのですね。
アルド
昔は口に出して読むことが重要視されていました。文字の読み書きは意外と難しいのです。
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