
前回は数学の「行列」の縦と横の並びの覚え方を話しました。

漢字の「行」は横棒が2本あるから,横の並びが「行」です。「列」には縦棒が2本あるから,縦の並びが「列」です。

漢字の形を考えれば覚えやすいわね。

さて,今回は簿記で使われる借方(かしかた)と貸方(かりかた)という用語の識別です。なお,簿記という単語自体が,英語のbook keepingを音訳したものと言われています。

だからアルドさん,英語に脱線しないで!

僕たちはお小遣い帳を書いています。

関心ね。お小遣い帳や家計簿は収入と支出を書くわね。簿記も似たようなものかしら。

お小遣い帳では,例えば300円の商品を買ったら支出欄に「300円」と書きますね。

そこからさらに残高も書きます。

簿記の世界では,例えば300円の商品を仕入れたら,仕訳帳という書類の「左側」に「借方,商品,300円」と書きます。加えて「右側」に「貸方,現金,300円」とも書きます。主に自分に財産が入るほうが借方,出ていくほうが貸方となります。

商品はいずれ売るから,財産が入るとみなすのね。

借方(debit)と貸方(credit)は福沢諭吉が銀行の経理を主な目的として翻訳した単語だそうです。銀行は利用者からお金を借りて,必要な人に貸し付けますね。しかし商店や企業から見ると,貸し借りがどちらの方向か分かりにくくなります。

貸し借りという漢字にこだわらないほうがいいのね。

現代では単なる左右の区別となっています。財産は左から入って右から出ていくと覚えておきましょう。

そうすると,右と左のどちらが借方・貸方なのか……問題になりそうです。数学の行列のように漢字で判断……どちらも「にんべん」だなあ。

それではひらがなで書いてみましょう。

「かりかた」「かしかた」……「り」と「し」が異なります。

「り」は「左払い」で終わって,「し」は「右払い」で終わっていますね。

本当だ!

つまり,左払いの「り」がある借方は左側で,右払いの「し」がある貸方が右側となります。

自分に入ってくる借方は左側,出ていく貸方は右側ね。
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