母音も全部書くのがアルファベットね。でも英語の綴りはカオスよね。
文字と発音がすべて表記されて,かつ一致している言語はありますか?
古くから表記が確立している自然言語には……存在しませんね。例えばスペイン語ではbとvの発音は同じですが,どちらの綴りで書くかは覚えなければなりません。
いずれにしても難しいのか。
人工的に文字が作られたとしても,文字と発音は必ずしも一致しません。例えばハングルは語源通りに表記するシステムです。
確かに,ハングルでは発音の変化の規則を覚えなければならないわね。
ハングルができた頃,すなわち世宗大王が訓民正音として公布した時は,発音通りに綴ることも一般的でした。
現代の正書法の規則は,世宗大王の頃から変わっているのね。
具体例を見ましょう。私の好きな単語である삶(sam/人生)を取り上げます。
この単語は살다(salda/生きる)の語幹살(sal)にᄆ(m/名詞化語尾)を付けたものね。発音はsalmではなくsamになるわね。
この単語に助詞をつけると発音が変わります。たとえば삶이(salmi/人生が),삶을(salmul/人生を)のようになります。
発音通りに表記すると살미,살믈だけど,これではどこまでが名詞で,どこからが助詞か,わかりにくいわね。
語源通りに綴る方式を形態主義,発音通りに綴る方式を表音主義と呼びます。ハングルは形態主義を選ぶことにより,韓国語を機能的に表記することができるようになったのです。
ハングルは偉大だと,韓国人はよく言います。
韓国語を表記する上では偉大だと思いますが,他の言語を表記するには向いていないと思います。
ところで,伝統的な文字体系は形態主義が多いの?
必ずしもそうではなく,例えばサンスクリット語は表音主義です。ハングルであれば語源通りに書いた後に規則に従って変音させて読みます。サンスクリット語にも様々な音韻変化があるのですが,変音後の綴りで表記します。
そういった点ではやっかいですね。
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