国際標準という幻想

先日は越中万葉の話をしたけど，元号の「令和」は万葉集が出典よね。

大宰府で詠まれた梅花の歌の序文ですね。

令は「よい」という意味ですね。

命令の令ではないわよ。

令和と西暦の変換はどうすればいいのですか？

西暦下2桁から18を引くと令和になるわよ。逆に，令和に18を足すと西暦下2桁ね。

同様に，西暦下2桁から25を引くと昭和になり，昭和に25を足すと西暦下2桁になります。

平成は厄介ね。西暦2000年以降は12の足し引きだけど，1999年までは……88の足し引きか。

ミレニアムをまたいだ平成の変換は面倒だなあ。国際標準の西暦に統一できないのですか？

元号は習慣的に続いている側面が大きいようです。また，西暦は必ずしも国際標準ではありません。

あら，そうなの？

現在の西暦は，正式名称をグレゴリオ暦といいますが，基本的にはキリスト教に基づく暦法です。

そういえば，キリスト誕生にちなんでいるわね。

イスラム文化圏では，宗教行事をヒジュラ暦の日付で定めています。中国では旧暦の正月を大々的に祝います。

西暦は事実上の標準ではありますが，イスラム教の暦や中国の旧暦のように独自の暦を併用している国は多いのです。日本の元号も多様性のひとつです。

元号を積極的に使うことにメリットはあるのですか？

時代を分類しやすいことでしょうか。例えば昭和，平成，令和という言葉を聞くと，それぞれの時代の歴史や文化を思い浮かべますね。

なくて困るものではないけど，あれば便利なものね。元号を毛嫌いせずに，適度に使い続けることも必要なのかもね。