はじめに

2025年2月は28日かけてタイ文字の記事を投稿します。

第4週はタイ文字学習の仕上げと発展事項を学びます。

第4週の第7回は,全体の最終回です。タイ文字の順番と,同音の文字を区別する方法を確認しましょう。冒頭の表にまとめましたので順に説明します。
タイ文字の順番

アルドさんのことだから,前回確認した一覧表の並び順はオリジナルなのよね。

当然です!

タイ文字の順番って,辞書を引く際に必要よね。覚えなくていいの?

私は辞書アプリを使っているので,覚える必要がありませんでした。電子辞書やWEB上での辞書サービスも世の中に存在しているようですが,紙の辞書は5千円程度するようです。そもそもタイ語検定で文字名称そのものを問われることはありません。

専門的に勉強するのでなければ,電子でもよさそうね。入力さえできれば,並び順なんて気にしなくて済むし。

タイ文字の正式な順番を覚えるつもりはありませんが,本来はどのような順番で,何か意味がある順番なのでしょうか。

基本的にはサンスクリット語の文字の順番を踏襲しているようです。サンスクリット語と対応する文字と派生形が41文字,パーリ語からの借用が1文字,タイ語固有が2文字です。冒頭の表に廃字を含めた順番を記載しましたので眺めてみてください。ダウンロードはこちらから。右クリックで保存できます。

まずは破裂音と鼻音を発生部位別にたどって……次は半母音系,そして摩擦音。これでサンスクリット語と対応する文字と派生形の41文字ですね。

形が似ているช(ch-)とซ(s-)の順番が並ぶのね。
タイ文字とフォネティック

文字は聞き間違いを防ぐために,特別な名前で呼ぶことがあります。例えば無線通信ではA(エイ),B(ビー),C(スィー)などではなく,Alpha(アルファ),Bravo(ブラボー),Charlie(チャーリー)など,あらかじめ決められた単語でやり取りすることになっており,これをフォネティックコードと呼びます。

タイ文字は聞き間違いどころか,1つの音に対して最大で6文字が対応します。

タイ文字にもフォネティックコードに相当する文字名称があります。基本的には頭子音に母音のɔɔを付けた後,フォネティックコードの単語を言います。例えば最初の文字กはkɔɔ kày(鶏のコー)と表現します。詳細は冒頭の表をご覧ください。日本語訳は教材によっては似た意味の別の単語を使っている場合があります。

2文字目がkhɔ̌ɔ khày(卵のコー)という紛らわしい発音で,意味も混同しそうなのは納得できないわよ。

文字の名前を無理に覚える必要はありませんが……鶏と卵は頻出単語です。

基本的には馴染みのある単語だと思うけど,古めかしい言葉も多いわね……特殊文字の長母音を含む珍しい綴りのฤๅษี(rɯɯsǐi)「仙人」もあるのね。

現代のお子様には馴染みがない単語があるかもしれませんが,小学校で習わない漢字には読み方を載せました。

供物台(くもつだい)と東屋(あずまや)は,小学校では習わない特殊な読み方です。

文字数が多くて(笑)

ところで「モントー夫人」とは,レア文字の上に,誰だか分からない名前ですね。

『ラーマキエン』という物語の登場人物だそうです。日本で例えるなら『南総里見八犬伝』の「伏姫」という登場人物を使って,日本語の「フ」を「伏姫のフ」と説明するような感じです。

八犬伝は読んだことありません。

それなら知名度も同等なので,外国人に日本語を教える際に「伏姫のフ」と言うのと完全に同じイメージです。

ちなみに日本語にもフォネティックコードがあり,日本語の「フ」は「富士山のフ」とすることが決められています。

富士山のほうがはるかに知名度高いじゃないですか。

タイ文字のฑはレアなので仕方ありません。
講義を終えて

ちなみに辞書アプリでฑを含む単語を検索してみたら,ครุฑ(khrút)という単語を見つけました。インド神話に登場するガルーダのことで,タイの国章にもなっていますが……なぜガルーダではなくモントー夫人を文字の名前にしたのかは謎ですね。

さすがのアルドさんでも,フォネティックコードを変える権限はないわよ。

冗談ですよ。それはさておき,以上でタイ文字の基礎知識は全て網羅できました。もちろん綴りと発音が不規則な単語もありますが,この4週間で学んだ知識があれば,自力で文字と発音の関係を解き明かすことができます。

久々の1か月チャレンジ投稿,面白かったです。

それではみなさん,よいタイ語学習生活をお過ごしください。

ありがとうございました。
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