はじめに
試験の5W2Hを学ぶシリーズ,第4回はWhat… 何が出題されるのかということについて考えましょう。
出題範囲と,傾向についてですね。
過去問を見よう
出題範囲と傾向については,基本的には過去問がすべてです。
入学試験の場合,英語なら長文の分量や問われる単語の水準,数学なら計算か証明か……といったことが,過去問を見ると分かるのね。
資格試験や検定試験は基本的に毎回同じ形式ですね。
教科書などに掲載されている練習問題は,必ずしも試験に出る形式とは限りません。教科書の練習問題を解けるようになることは重要ですが,試験合格を目的とする場合は,試験に出る形式で解けるようにする必要があります。
例えば英語なら単語の意味を単純に覚えるのではなく,その単語が長文中に出てきても適切に内容を理解できるようにしなければならないのね。社会の用語も単純に覚えるのではなく,その単語を使って現象を説明できるようにしなければならないわね。
数学や物理では単純に公式を覚えるだけでなく,与えられた条件をどのように数式で表現するかが問われます。教科書の基本事項を理解することは重要ですが,早くから実際の試験問題でどのように使うかを体験するのがよいでしょう。
出題傾向によってはヤマを張ることも可能ですね。
例えば数学であれば毎年回転体の体積を積分で求める問題が出題されるとか,物理であれば毎年力学と電磁気学が出題されるとか,そういったものはあります。逆に,数学で二次曲線が数年に1回しか出題されないとか,物理で原子が数年に1回しか出題されないとか……そのようなことが分かれば,手を抜くことも可能です。
イレギュラーで出題されたら大変だけど,他の受験生も同じかな?
また,毎年特徴的な問題が出題される例もあります。例えば数学の教科書に掲載されている基本的な定理を証明させる問題を,毎年出題している大学もあるとか。
その情報があれば,その大学を受験するなら定理の証明を一通り勉強するわね。逆に偏差値や共通テストの結果を見てその大学に出願した人は,試験会場でいきなりそんな問題を見て驚くかもね。
そこがポイントだと思います。偏差値等によらず,出題傾向を認識すれば最小限の勉強量でも合格できる可能性があるのです。
「外国語の検定試験で最低でない級の全言語制覇」も,出題傾向の研究あってこそね。
そうですね。こちらでも紹介していますが,私は過去問研究と活用形詰め込みだけでスペイン語検定5級に合格しています。
そんなことも可能なのですね。
初見で解けること
さて,様々な試験には出題傾向がありますが,それよりも重要なことは「初見で解ける」ことです。
それまでに学習した知識を総動員して,試験本番で初めて見る問題を解かなければならないのね。
初見でできることは,様々な分野で求められます。例えばアナウンサーは渡された原稿をその場で読むことがあります。クラシック音楽の演奏家なら,渡された楽譜をその場で演奏することもあります。
プロなら初見でできて当たり前なのよね。
仕事であれば手順書を見ながら作業できますが,試験はその場で解くことが求められます。初見で解ける問題を増やすために,基礎事項を復習したり,過去問を繰り返して様々な解き方を学んだりすることは重要なのです。
出題傾向は何となく考えていましたが,初見で解くという発想がありませんでした。
「出題傾向はあるが初めて見る問題」を解くのだという意識があれば,普段の学習方法も変わるわね。
そうですね。例えば国語の問題が「百人一首の和歌をできるだけたくさん書け」という問題なら楽ですが,そのような入試問題はまず出題されないでしょう。しかし,百人一首の和歌を文法的に分析することで,その知識を読解問題に活かすことは可能です。
確かに,家庭や学校で百人一首を暗唱させられた経験のあるクラスメートは,古文の成績が上位だったわ。
「この知識を活用すれば,初めて見る問題でも解ける」ようにすることが重要なのですね。
そうですね。しかも多くの人にはその認識がありません。この情報を知っているだけで有利になります。みなさんも学習に活かしてください。
ありがとうございます。
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