ミライ姐
歌会始に応募した短歌を公表するシリーズ。今回は2018(平成30)年の応募作です。
アルド
お題「語」
いたく吹き飛び火遠くにいざなへり語り果つまじ忘れえぬまち
ミライ姐
糸魚川大火ね。
アルド
2016年12月に発生した糸魚川大火では,私も消防団員として出動しました。凄惨な現場を目の当たりにして,この思いを忘れまいと,歌会始には糸魚川大火を題材に詠もうと,現場で思っていました。
ミライ姐
歌会始だけでなく,糸魚川ジオパーク検定についても決意していたわよね。
アルド
そうですね。絶対に達人級に合格して,ポンコツ市長を……
ミライ姐
アルドさん,発言には気をつけましょう。
アルド
とにかく,私は糸魚川大火の被災者ではありませんが,人生を変えた出来事だったと思います。
ミライ姐
写真は旧・北越銀行の前ね。アルドさんはこの近辺で消火活動にあたっていたのよね。
塾生
火事で黒焦げになった木が残っているのですね。
アルド
この木は観光地を表す看板です。2021年5月現在も残っています。
ミライ姐
歌の意味は?
アルド
ひどい風が遠くまで飛び火を誘発してしまった。忘れられない糸魚川の街の思い出を,語り尽くすことはないだろう。
塾生
各句の先頭をつなげると「い・と・い・か・わ」……もしかして,糸魚川になるのではないですか?
アルド
よく気づきましたね。このように単語を隠し入れることを折句(おりく)といいます。
ミライ姐
各句の末尾が全部イの段なのは,意図的なのかしら。
アルド
そこまで気付くとはすごいですね。短歌の技法ではありませんが,末尾の音をそろえることを押韻(おういん)といいます。
ミライ姐
ラップじゃあるまいし。しかも「まじ」と「まち」まで押韻してるわね。
アルド
技巧に走りすぎるのはいかがなものと思いますが,大火の後の糸魚川への想いをぶつけるために,徹底的に言葉を選んだつもりです。
ミライ姐
確か,翌年の歌会始も糸魚川大火を題材に読んだのよね。
アルド
そちらは次回紹介しましょう。
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