私は糸魚川ジオパーク検定の達人級合格者で,合格証番号は3番です。2020年時点で,まだ7人しか合格者がいません。
単なる合格者ではなく,ジオパークの魅力をSNSでも多言語で発信しているわね。ジオパークに対して情熱を持っているのね。
そんな情熱はありません。そもそも,ジオパーク活動に対しては否定的な立場でした。
えっ?
意外ね。詳しく聞かせてよ。
きっかけは2006年,糸魚川市の職員採用試験を受けたことです。
不採用になったからって,市の政策に何でも反対するのはいかがなものかと……
そうではありません。今にして思えば,ポンコツ市民にペコペコするのが嫌いなのに,なぜ公務員になろうと思ったのか……若気の至りですね。
アルドさん,発言には気をつけましょう。
私は大学で地球物理学を専攻していました。しかし採用試験は一般行政・上級で受けて,一次試験に合格しました。
理系だけど,法律や経済学の試験に合格したのね。そして二次試験に臨んだのね。
二次試験では市長との面接がありました。一次試験の作文の内容についての質疑を受けましたが……ジオパークに関する話は一切ありませんでした。
意外ね。
そもそも当時,糸魚川市は世界ジオパーク運動に加盟する前でした。ただし,1991年に糸魚川市が世界で初めて「ジオパーク」という名称を作り,独自の活動を開始していました。しかし,2006年当時「ジオパーク」という言葉は,私を含め一般人にはあまり知られていませんでした。
あたしが市長なら,地球物理学専攻なのに一般行政上級試験をパスしてきた人に絶対反応する!
そうですよね。その後,私は民間企業に騙されてエンジニアとして就職したのですが,2009年から糸魚川では誰もがジオパークという言葉を知るようになりました。
糸魚川が日本で初めて認定された「世界ジオパーク」の一つになったんですね。
数年前の採用試験で,ジオパーク活動に使えそうな人材に,ジオパークに関する質問もなく……ポンコツ市長が……と思ったのです。そのため,私にとって糸魚川の世界ジオパーク活動は「ぽっと出」としか思えません。
アルドさん,発言には気をつけましょう。
幸いにしてジオパークは4年に1回の審査があります。審査に通るまでは完全無視を決めました。そのため,私がジオパーク検定に初挑戦したのは第5回です。初級から順に受験しなければなりませんが,初級は1回で,上級は2回目で,達人級は2回目で合格しました。
第9回検定で達人級に合格した4人のうちの一人になったのね。
達人級合格証授与式では市長からねぎらいの言葉をいただきましたが……市長,お前も合格しろよ……というのが本音でした。「次は市長さんが頑張ってくださいよ」と言ってみましたが,市長からは「無理」の一言した。やっぱりポンコツ市長ですね。
それでも糸魚川は世界ジオパークとして,世界から一目置かれる存在です。素晴らしい町だと思います。
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