ラジアンを必修にしたい（物理が理解できる単位のお話・第7話）

私はメーカーの業務部門に勤務していますが，以前は技術部門にいました。どちらの仕事でもエクセルに計算式を入れて，数値を入力して様々な計算をします。

例えばある角度での弧の長さや扇形の面積は，1周が360度であることから，円周率を3.14とすると次のようになるわね。

この計算の場合，ある角度÷360度は比（割合）なので，ある角度をそのままエクセルに入力しても計算できます。しかし，エクセルに30と入力しても，それは30という数字であって，角度の30度ではありません。

第5話で，直角が90度の理由を話したわね。

90は約数が多くて使いやすいからです。

人間にとってはそうですね。しかし，直角を90度なのは，人間がたまたまそう決めただけであり，数学的な厳密性はないのです。

数学の世界では，もっと厳密な角度の決め方があるのですか？

高校理系以上の数学ではラジアンという角度を使います。弧の長さが半径の長さと同じ時，その角度を1ラジアンと言います。

円周率を3.14ではなく\(\pi\)と書くと，主な角度は以下のようになります。

大昔は，高校2年の数学でラジアンを学びましたが，現在では高校3年の数学で学ぶことになります。理系クラスでないと，ラジアンを学ばずに高校を卒業することになるのですね。

ラジアンを知らないと，どんな問題があるのですか？

エクセルでは角度はラジアンで入力しなければならないのです。

毎回ラジアンに直して入力するのも大変ね。

度をラジアンに換算することはできます。逆に，ラジアンで出てきた計算結果を度に換算して表示させることも可能です。以下の関数を使います。

エクセルで必要なら，ラジアンは高校2年の数学で，文系の生徒でも学ぶべきだと思うわ。