2024年2月21日,当記事のリメイク版を公開しました。当記事については当時の社会状況について言及しているため残すこととします。詳細はリメイク記事のほうでご確認ください。
2022年2月,ロシアがウクライナに侵攻しました。
ウクライナの徹底抗戦が続き,2022年5月になってもまだ混乱が続いていますね。
ロシア語とウクライナ語は似ているのですね。
同じスラブ系の言語なので,素人目に見れば似ているように見えます。しかし,ウクライナ語は,ロシア語よりはむしろベラルーシ語やチェコ語のほうによく似ているそうです。
言語が異なると争いも起きがちね。
ところが,ウクライナ東部にはロシア系住民も多く……そもそもウクライナのゼレンスキー大統領自身がユダヤ系で,ロシア語のネイティブ・スピーカーです。
いずれにしても,ロシア周辺の言語は馴染みがないわね。
茶番はさておき,今回は,ロシア語の移動の動詞についてお話しましょう。
「行く」とか「来る」の話ね。
実はロシア語には「行く」と「来る」の区別はありません。
起点と終点の考え方は違うけど,どちらも同じ移動として考えているのね。
しかしロシア語では,移動手段や目的地の有無などにより,動詞の形を変えます。自動詞の場合,移動手段は歩きか,走るのか,乗り物か,水のあるところか,空中か……他にもあるのですが,初級レベルではこれらの単語を覚える必要があります。
例えば湖の対岸に行くとして,湖を突っ切って泳いだのか,湖の周囲を歩いたのか走ったのか車で移動したのか……もしかしたら飛行機かも……ということを,いちいち区別するのね。
しかも片道か往復か,あるいは目的地が具体的に決まっている場合と,そうでない場合で異なる動詞を使います。
「行く」と「来る」は区別しないのに,片道と往復は区別するのね。
他にも他動詞3つ(手に持って運ぶ,乗り物で運ぶ,連れて行く)も,目的地の有無などによって2つの単語を使い分けます。
ややこしい。
初級レベルで覚えるべき,これら8組16個の移動動詞の活用をまとめました。ダウンロードはこちらから。アクセントが原形と異なるものは赤字で,語幹や語尾が不規則なものは青字で記載しています。
一般の教科書などで使われている表と見た目が異なりますね。普通は「男・女・中・複」だし,1人称単数だけ変な位置にあるのも気になります。
この配列方法については,別の機会にお話しましょう。ロシア語検定3級では文法の大問6と大問7で移動の動詞について問われます。適正な動詞を選んだ上で,適正な語形(時制,人称,性,数)を書かなければなりません。
これで3級レベルとは,ロシア語検定恐るべし。
おそロシア(笑い)
さて,ロシアがウクライナに侵攻したことは,どのように表現しましょうか。
歩兵は「歩いて行く」のか「走って行く」のか,場合によっては「泳いで行く」だし,戦車だったら「乗り物で行く」で,戦闘機なら「飛んで行く」……目的地があるから片道かなあ。
初級レベルではありませんが,這って行く(定:ползти/不定:ползать)や,よじ登って行く(定:лезть/不定:лазить)などの表現も考えられますね。
ロシアのお偉いさんが,この記事を見ていないことを祈るわ。
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