達人級合格者にガイド依頼が来ました（後編）

勤務先から，お客様にジオパークのガイドを命じられたお話。前回に引き続き，2日目のお話です。

宿泊は糸魚川名物の温泉で，しかも会社から糸魚川の地酒が差し入れられていたようね。なのでお客様御一行はルンルン気分で工場見学にいらっしゃったみたいです。

私はその日，別の案件の会議をしていましたが，ガイド出発時間に合わせてちょっと早めに会議を切り上げて待っていました。

でも，事務所の裏口に行ったら，工場見学が盛り上がっているのか，まだ工場の脇にバスが停まっていたのね。余裕を持って見学場所の予習ができたんじゃないかしら。

2日目の見学場所は親不知。私は生粋の親不知人ですから，誰よりも親不知に詳しいのですよ。2日目はプロのジオパークガイドさんはいなくて，私が全部解説することになりました。

親不知は飛騨山脈の北端が日本海に落ちている場所なのね。聖徳太子さんも，親鸞聖人さんも，松尾芭蕉さんも，昔は海岸沿いを通行していたのね。

一応，山越えのルートもありましたが，メインは海岸沿いの道だったのです。加賀藩の参勤交代では，地元の人達を波避けの「人間の壁」として雇った記録があるそうです。

海岸沿いの道が第1世代。明治にできた，今は遊歩道や県道になっている道が第2世代。現代の国道8号線が第3世代。北陸自動車道が第4世代。つまり，親不知では4世代の道路が見られるのね。

交通の歴史を知らないと「崖があるね」で終わってしまいますが，兼好法師風に言えば「少しのことにも先達はあらまほしきことなり」ですね。

後日，会社の総務部を通じてお褒めのメールをいただきました。会長さんからは東京名物の高級海苔を頂いたそうで。
アルドさんはガイドの資格を持ってないけど，気が向いたら無償で個人的に説明はしてくれるみたいなので，アルドさんのご機嫌を損ねちゃダメよ。