私の父は富山県立某工業高校出身です。私は子供の頃,父の高校の同窓会名簿を見て,住所の書き方に違和感を覚えました。
普通は「富山県富山市新総曲輪1番7号」のように表記するわね。ちなみにこれはアルドさんが大好きな富山県警察本部の住所ね。
その住所であれば「富,新総曲輪1番7号」のように書かれていました。
市の名前を1字で省略しているのですね。
調べてみると,富山県では昭和の市町村大合併以降,9市7郡が存在していました。そしてすべての頭文字は異なっていました。
略号 | 郡市名 | 読み方 |
---|---|---|
黒 | 黒部市 | くろべ・し |
魚 | 魚津市 | うおづ・し |
滑 | 滑川市 | なめりかわ・し |
富 | 富山市 | とやま・し |
新 | 新湊市 | しんみなと・し |
高 | 高岡市 | たかおか・し |
氷 | 氷見市 | ひみ・し |
小 | 小矢部市 | おやべ・し |
砺 | 砺波市 | となみ・し |
下 | 下新川郡 | しもにいかわ・ぐん |
中 | 中新川郡 | なかにいかわ・ぐん |
上 | 上新川郡 | かみにいかわ・ぐん |
婦 | 婦負郡 | ねい・ぐん |
射 | 射水郡 | いみず・ぐん |
東 | 東礪波郡 | ひがしとなみ・ぐん |
西 | 西礪波郡 | にしとなみ・ぐん |
郡市で名前の頭文字に重複がないので,住所を書くときに1文字だけで略せるのですね。
平成の大合併後はこのようになりました。
略号 | 郡市名 | 読み方 |
---|---|---|
黒 | 黒部市 | くろべ・し |
魚 | 魚津市 | うおづ・し |
滑 | 滑川市 | なめりかわ・し |
富 | 富山市 | とやま・し |
射 | 射水市 | いみず・し |
高 | 高岡市 | たかおか・し |
氷 | 氷見市 | ひみ・し |
小 | 小矢部市 | おやべ・し |
砺 | 砺波市 | となみ・し |
南 | 南砺市 | なんと・し |
下 | 下新川郡 | しもにいかわ・ぐん |
中 | 中新川郡 | なかにいかわ・ぐん |
しかも,郡に属する町村が朝日町(あさひ・まち),入善町(にゅうぜん・まち),上市町(かみいち・まち),立山町(たてやま・まち),舟橋村(ふなはし・むら)です。実例を見たことはありませんが,全市町村名も頭文字1字で略せますね。
便利だなあ。
ちなみに,アルドさんの住む新潟県では,郡市町村名を1文字略号にできるの?
現在の郡市町村では,新潟市(にいがた・し)と新発田(しばた・し),南魚沼市(みなみうおぬま・し)と南蒲原郡(みなみかんばら・ぐん),阿賀野市(あがの・し)と阿賀町(あが・まち)が重複しています。
新潟県は富山県より広いから市町村数も多く,名前の重複もでてくるわね。
平成の大合併前では「新」だけで,新潟市(にいがた・し)と新発田(しばた・し)と新津市(にいつ・し)と新井市(あらい・し)の4市がありました。さらには「中」だけで中蒲原郡(なかかんばら・ぐん),中魚沼郡(なかうおぬま・ぐん),中頸城郡(なかくびき・ぐん)の3郡がありました。
確か蒲原が東西南北中の5郡,魚沼が南北中の3郡,頸城が東西中の3郡あったから,どうしても2文字使わないと区別できないわね。
新潟県の新聞等では郡名を「中蒲」のように2文字で表現していました。現在では郡内の町村数も少なく,郡名を冠さずに直接町村名を書くことが増えました。
ところで「郡」には役場もなければ役人もいません。どんな役割があるのですか?
それは次回,説明しましょう。
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