ロシア語の名詞について学びましょう。
ロシア語には単数形と複数形があって,さらに6つの格があるのね。
格とは何ですか?
日本語では「が」「の」「に」「を」などを付けると意味が変わりますね。このような意味の違いを格といいます。日本語では付属語の違いで表現しますが,ロシア語では単語自体を変化させます。
6つの格の名称と意味は以下の通りです。
名称 | 主な日本語訳 | 誰 | 何 |
---|---|---|---|
主格 | 〜は,〜が | кто | что |
生格 | 〜の | кого | чего |
与格 | 〜に,〜へ | кому | чему |
対格 | 〜を | кого | что |
造格 | 〜を使って | кем | чем |
前置格 | (特定の前置詞を伴う) | ком | чём |
「誰」と「何」の単数形の格変化も掲載しました。動詞や前置詞がどの格と結びつくかを表すために,辞書や教科書ではこれらの単語を使う場合があります。
前置格は前置詞を伴うのですね。
前置格は単独では使わず,必ず前置詞を伴います。しかし,主格以外のすべての格も,何らかの前置詞と結び付きます。
どの前置詞がどの格を伴うか,覚えなければならないのね。
前置詞と格の結びつきのことを「前置詞の格支配」と呼びます。徐々に覚えていきましょう。
覚えるのはいいけど,1つの名詞につき12の変化形を覚えるのよね。
基本的には語尾で識別します。しかし,一部の単語では語幹(語尾以外の部分)が変化したり,アクセント位置が移動したりします。
難しそうです。覚えきれるかなあ。
語幹の形は原則として,単数形であれば生格と同じ,複数形であれば主格と同じです。アクセントの位置は数に関わらず原則として生格と同じです。また,女性名詞の単数形対格は独自の形ですが,男性,中性,複数形の対格は,動物を表す単語では生格と同じ,動物でないものを表す単語では主格と同じになります。
日本語では動物を表す単語には「いる」という単語を使い,動物でないものを表す単語には「ある」と使い分けるわね。ロシア語では動物か否かで文法が変わるのね。
数 | 格 | 語幹 | アクセント位置 | 変化語尾 |
---|---|---|---|---|
単数 | 主格 | 個別に暗記 | 個別に暗記 | 個別に暗記 |
生格 | 一部個別に暗記 | 個別に暗記 | 一部個別に暗記 | |
与格 | 単・生と同じ | 単・生と同じ | 規則的 | |
対格 | 単・主または単・生と同じ | 単・主または単・生と同じ | 規則的 | |
造格 | 単・生と同じ | 単・生と同じ | 規則的 | |
前置格 | 単・生と同じ | 単・生と同じ | 一部個別に暗記 | |
複数 | 主格 | 個別に暗記 | 個別に暗記 | 個別に暗記 |
生格 | 一部個別に暗記 | 個別に暗記 | 個別に暗記 | |
与格 | 複・主と同じ | 複・生と同じ | 規則的 | |
対格 | 複・主または複・生と同じ | 複・主または複・生と同じ | 規則的 | |
造格 | 複・主と同じ | 複・生と同じ | 一部個別に暗記 | |
複数 | 複・主と同じ | 複・生と同じ | 規則的 |
主格と生格を覚えてしまえば,例外的なものを除き,他の格は語尾に気をつければいいのね。
変化語尾については,別の機会に学びましょう。
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