はじめに

前編に引き続き,ロシア語検定3級の数詞全知識をお届けします。

今回は序数詞をメインに学びましょう。

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ロシア語検定3級での序数詞の最重要項目が日付であるため,序数詞は1から20および30のみを掲載しています。21以降は最後の単語のみを序数詞にします。

なるほど。
序数詞とは

序数詞は「1番目の」「2番目の」を意味する単語で,英語のfirstやsecondに相当するものです。序数詞に対して,普通の数詞のことを基数詞と呼びます。

ちなみに日本語の「個」「冊」のように,数字の後ろに付けて単位を表すものを助数詞と呼びます。

ややこしい。

基数詞と序数詞は似ているものもありますが,1と2はぜんぜん違う形です。

よく使う単語ほど不規則になりがちよね。

ロシア語の序数詞は形容詞です。基本的には他の形容詞と同様に,性・数・格に応じた変化をしますが,ロシア語検定では特に序数詞を使うパターンを覚える必要があります。
序数詞の変化

まずはロシア語の形容詞の変化をおさらいしましょう。

本講義では横軸を女性,男性,中性,複数の順に,縦軸を主格,対格,生格,前置格,与格,造格の順に並べます。
格 | 女性 | 男性 | 中性 | 複数 |
---|---|---|---|---|
主格 | -ая | -ый, -ой | -ое | -ые |
対格 | -ую | =主/対 | =主/対 | |
生格 | -ой | -ого | -ых | |
前置格 | -ом | |||
与格 | -ому | -ым | ||
造格 | -ым | -ыми |

いくつかの語形は共通しているのね。これなら最小限の暗記量で済むわね。

男性・主格には-ыйと-ойの2パターンありますが,男性・主格以外はどのパターンも同じです。

「3番目の」はтретийで-ийで終わっています。

一般の形容詞であれば硬母音(а, о, у, ы)を軟母音(я, е, ю, и)に変えるだけですが,третийは特別な変化をします。
格 | 女性 | 男性 | 中性 | 複数 |
---|---|---|---|---|
主格 | -ья | -ий | -ье | -ье |
対格 | -ью | =主/対 | =主/対 | |
生格 | -ьей | -ьего | -ьих | |
前置格 | -ьем | |||
与格 | -ьему | -ым | ||
造格 | -ьим | -ьими |

変化語尾の前にьが挿入されて,その直後の母音はひとつなのね。

このような変化語尾はтретий以外に,動物名などから派生する形容詞に多く見られますが,ロシア語検定3級レベルではтретийだけ覚えておけばよいでしょう。
序数詞を使った表現

さて,ロシア語検定3級で必須の序数詞の用法は「何月何日に」の表現です。

和文露訳の問題では,数字は綴りで書かないといけないのね。

まずは「何月何日」そのものの表現です。例えば「1月3日」は正式にはこのように表現します。
文法要素 | 「日付」の序数詞中性・主格 | 「日付」(中性名詞)の単数・主格 | 「月名」の生格 |
---|---|---|---|
ロシア語 | третье | число | января |

トゥリェーチイェ・チスロー・インヴァリャー

直訳すると「1月の3番目の日付」という意味なのね。

一般的にはчислоを省略して次のように言います。
文法要素 | 「日付」の序数詞中性・主格 | 「月名」の生格 |
---|---|---|
ロシア語 | третье | января |

トゥリェーチイェ・インヴァリャー

一方で「1月3日に」は次のように表現します。正式には間にчисла(生格形)が入りますが,一般的には省略します。
文法要素 | 「日付」の序数詞中性・生格 | 「月名」の生格 |
---|---|---|
ロシア語 | третьего | января |

トゥリェーチイヴァ・インヴァリャー

なぜ生格を使うの?

生格に様々な用法があることと,時間の表現が複雑なことで,論理的な説明が難しくなっています。
検定問題対策(朗読)

英語では1st, 2nd, 3rd, 4thのように略しますが,ロシア語ではそのような書き方はないのですね。

そうですね。ロシア語検定3級では朗読問題で「数字+月名の生格」がよく出題されますが,数字しか書かれていないため,序数詞であることや生格形を使うことは知っておかなければなりません。

アルドさんはロシア語検定本番で間違えた経験があるのよね。

さて,ロシア語検定3級の朗読問題では,準備時間として5分間が与えられます。

この間に黙読して,アクセントの位置をチェックしたり,長い単語などの読み方をチェックするのね。

4級はアクセント記号付きですが,3級はアクセント記号なしの文を読むのですね。発音はカタカナで書いてもいいんですよね。

問題用紙は回収されるので,恥ずかしいことを書いたら気まずいけどね。

問題用紙に数字が書かれている場合は,基数詞なのか序数詞なのか,序数詞だとすれば性・数・格はどうなるかを判断して,あらかじめアクセント符号を含め綴りで書いておくとよいでしょう。

数字の直後に月名の生格があれば序数詞の中性・生格と瞬時に判断できるけど,他の表現で前置詞を伴う場合は総合的な知識が求められるわね。

朗読時間は3分間ですが,ゆっくり読むと1回で時間ギリギリだと思います。

ロシア語はアクセントが正しいとそれらしく聞こえるので,ゆっくりでも正確に読むべきなのね。

非公式な情報ですが,最後までそれらしく読めていればギリギリ合格させてもらえるようです。

ちなみにアルドさんは朗読問題50点中30点以上で合格のところ,30点ちょうどで合格できたのよね。

露文和訳も50点中30点,和文露訳は50点31点で,こちらもギリギリ合格させてもらったと考えるのが妥当でしょう。

次回は後編として「前置詞+数詞+名詞」など出題実績のある表現を学びます。どうぞよろしゅう。
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