先回は京都市中心部の住所が長い秘密を学びました。
通りを基準にして,交差点からの距離で表すのよね。京都には通りの順番を覚えるためのわらべ歌もあるのよね。
実は,京都と似たような仕組みの碁盤の目の町はいくつかあります。代表例は札幌市ですね。
明治以降に京都の町を手本にして作られたのよね。
京都と異なるのは,道路に囲まれた区域が一つの町内になることです。一方,京都は道路の向かいは同じ町内という場合が多いです。その結果,例えば札幌市役所の住所は次のようになります。
北海道札幌市中央区北1条西2丁目
細分化してみましょう。
住所 | 意味 |
---|---|
北海道 | 都道府県名 |
札幌市 | 市町村・特別区名 |
中央区 | 政令指定都市の区名 |
北1条 | 中心地から南北方向に何ブロック目か |
西2丁目 | 中心地から東西方向に何ブロック目か |
道路に囲まれた区画なので,交差点からの方角指定は「何条何丁目」に含まれている | |
何条何丁目が町名に相当する | |
「何番何号」だが,他に建物がない場合などは存在しないこともある |
一般の住所であれば「何丁目何番何号」と表現しますが,このブロックにはたまたま市役所しかないようで,市役所の住所は北1条西2丁目で終わっています。
地図を見ると確かに北側で北1条通,東側で西2丁目通に面しているわね……囲まれた区画だから,もう2本の通りがあるのか。南側が大通,西側西3丁目通に面しているのね。
大通とは,みなさんもご存知の大通公園がある場所です。大通公園に近い方から北側は北1条から北51条まで,南側は南1条から南39条まであります。
東西方向の基準は?
市街地を流れる創成川が基準です。創成川に近い方から東側は東1丁目から東30丁目まで,西側は西1丁目から西30丁目まであります。ただし,碁盤の目の範囲は長方形ではないので,例えば南東側は南7条東8丁目までしか存在しないなど,すべての組み合わせが存在するわけではありません。
それでも,通りの順番を覚える必要がないので楽です。
元々は京都のように固有の名前がありました。例えば北4条通は石狩通,西6丁目通は室蘭通など,旧国名や郡名が付けられていました。1881(明治14)年の明治天皇巡幸の際に,何条何丁目方式に改めたそうです。
京都って,意外にも新しもの好きのイメージがあるけど……通りの名前は完全な数字に置き換えられることなく現在に至るのね。
さすがに千年以上も続いた由緒ある名前が,単純な数字に置き換わるのは面白くないのでしょう。例えば仮に現・四条通を新たに0条と名付けたとしたら,現・三条通が北4条,現・五条通が南6条となり,間違いなく現在数字の含まれている通りから苦情が来るでしょう。
京都駅前のメインストリートである烏丸通を0丁目にしてみましょうか?
多分,千本通から苦情が来ます。現・千本通は平安京のメインストリートである朱雀大路に相当します。
千本通って,京都地中心部の西端にあるのね。ここより東は,昭和初期の合併で京都市に編入された地域で,旧町村の地名によるのね。
現在の京都市中心部は,平安京の東半分に相当します。平安京の西半分は早くに廃れたため,現在の千本通以西の市街地は後世になって改めて発展したものです。
こんな状況では,京都の通り名と町名は永久に不滅ね(分かりやすくしろ!)
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