コロナもついに5類に移行が決まり,コロナ前の生活が期待できます。
5類とはいえ,感染につながる行動は控えてもらいたいわね。コロナ前のインバウンドは活気があったけど,観光公害や再パンデミックにならなければいいわね。
観光といえば,京都の観光地って変じゃないですか?
どこが?
住所……長過ぎません?
アルドさん,どうなの?
京都に住んだことはありませんが,確かに京都市中心部の住所は長いですね。これには理由があります。
教えてください。
例えば京都市役所の住所は以下のようになります。
京都府京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488番地
長っ!
どんな仕組みなの?
それでは細分化してみましょう。
住所 | 意味 |
---|---|
京都府 | 都道府県名 |
京都市 | 市町村・特別区名 |
中京区 | 政令指定都市の区名 |
寺町通 | 面している通りの名前 |
御池 | 近くの交差する通りの名前 |
上る | その交差点からの方角 |
上本能寺前町 | 町名 |
488番地 | 番地 |
ちなみに北に向かうのが上(あが)る,南に向かうのが下(さが)る,東に向かうのは東入(ひがしいる),西に向かうのは西入(にしいる)です。
つまり,寺町通と御池通の交差点から,寺町通を北に進んだところにあるということね。
そういえばミライ姐と富山県内をドライブした時に,山側に行くことは上がる,海側に行くことは下がると,ミライ姐が言うのをよく聞きましたが……あれは富山の方言ですか?
共通語……よね? 京都だって北のほうが標高が高いし,御所も北にあったのよね。それはともかく,面している通りの名前と,近くの交差点からの方向って,この情報必要なの?
町名と番地はあるのですよね。
実は京都市中京区には498の町があります。
そんなにあるの?
しかも中京区の面積は7.41平方キロメートルなので,一つの町の大きさは百メートル四方程度にしかなりません。これは上京区や下京区も同様です。
タクシーの運転手でも全部は覚えきれませんね。
一方,京都の町は歴史的経緯から碁盤の目のようになっており,なおかつ道路を挟んで向かい側が同じ町内になる場合がほとんどであるため,東西と南北の通りの名前で場所を指定するのが一般的です。町名で場所を特定する文化は,そもそも無いのですね。
郵便配達が大変そうだなあ。
郵便番号はこの町名ごとに決められています。郵便番号と番地が正しければ郵便物は届きますし,最寄りの郵便局で配達順に並び替えるので,郵便はそれほど難しくはないと思います。
だったら通りの名前は要らないんじゃない?
別の問題が生じます。例えば京都駅前でタクシーに乗って「中京区の亀屋町まで」と言ったら,運転手はどのような反応をするでしょうか。
町名が多いので,通りの名前を聞くのよね。
半分正解ですが,おそらくは「どちらの亀屋町ですか」と聞かれるでしょう。
どういう意味ですか?
実は中京区内に亀屋町が5か所あります。
「亀屋町と言われても町名が多すぎてピンとこないのですが,どこの通りですか?」ではなく「5か所ある亀屋町の内,どの亀屋町ですか?」という意味になるのね。
ちなみに亀屋町は上京区にも4か所,下京区にも2か所あります。
京都駅前でタクシーに乗って「亀屋町まで」と言ったら,運転手に「何区ですか」と聞かれますね。
いえ,最初から「どこの通りですか」と聞かれるでしょう。
ちなみに通りの数はいくつあるの?
東西方向と南北方向で,それぞれ30本程度あります。通りの順番を覚えるわらべ歌もあり,京都の人は常に通りの位置関係を意識しています。
そういえば名探偵コナンの映画で「まるたけえびす」を見たわ。
この住所表記に例外はないのですか?
まず前提として,この表記は京都の中心市街地に限られます。明治以降の合併で京都市となった地域は,そもそも碁盤の目から外れているため,通り名で指定ができません。
京都市街地は碁盤の目になっていて,山がないほうが南と教わったけど,周辺地域はそうではないのね。
また,主要な通りに面していない場合は,主要な通りから何ブロック入ったところにあるのかを指定します。
マイナーな通りまで全部覚える必要はないのですね。
なお,面している通りは特定できますが,通りの左右どちらに面しているかまでは特定できません。
自動車で行ったら反対車線側っていうこともあるのね。初めて行くときは注意が必要ね。
あまつさえ「下る」を嫌って,遠い方の交差点から「上る」と表現することもあります。例えば京都市役所は「寺町通御池上る」ですが「寺町通押小路下る」も同じ場所を指します。
意外と柔軟な表現なのね(最短で案内しろ!)
実際には様々な例外的表現もあると思いますが,京都に住んでいる方以外は,これだけ知っておけば十分でしょう。
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