前回は私の2022(令和4)年の詠進歌を紹介しました。
別の歌を詠んで応募直前まで準備していたそうね。
それはこちらの歌です。
お題「窓」
窓越しの景色移ろふ二十年バイト帰りの夜汽車懐かし
二十年……ということは,学生時代にアルバイトの帰りに乗った電車に,再び乗車したということかしら。
そうですね。私は学生時代,富山駅北の某所でアルバイトをしていました。自動車を持っていなかった私は,富山駅から十数分かけて歩いて出勤していました。
自動車どころか,運転免許も持っていない時代よね。
帰りも歩いて富山駅に向かうのですが,沿線にある富山港線の電車に乗って帰ることもありました。
当時はJRだったけど,今は富山地方鉄道が運行していて,富山駅の南側の路面電車と直通運転しているのね。
JR当時は閑散としていました。現在は駅や本数も増え,富山での生活に欠かせないインフラとなりました。
短歌では「汽車」という単語を使っています。電車と汽車は違うのですか?
列車という言葉もあるわね。
鉄道車両が複数連結されたものを列車といいます。
駅のアナウンスで「列車が入ります」「列車が通過します」などというのを聞いたことがあります。
列車を動かすには動力を発生させるための車両が必要です。
動力を持つ車両に色々な種類があるのですね。
電気で動く車両を連結したものは電車と呼ばれます。蒸気機関車やディーゼルで動く車両を連結したものは汽車と呼ばれるのですね。
一般の人の中には,電車と汽車の区別が曖昧な人も多いわね。
歴史的な経緯もあります。例えばJRの全身である国鉄(日本国有鉄道)は,私鉄よりも電化が遅かったこともあり,電気機関車を連結していても,JRの車両を「汽車」と呼ぶことがあります。
富山の人はJRの車両のことを汽車,富山地方鉄道の車両を電車と呼び分けているわね。
そうですね。私が学生時代に乗った富山港線のJR車両は,厳密には「電車」でした。二十年ぶりに乗った富山地方鉄道の路面電車も,文字通り「電車」です。しかし短歌ではあえて「夜汽車」という単語を使いました。
そもそも,「夜電車」とは言わないわね。
「夜汽車」と聞くと,ロマンチックに感じます。
富山では「汽車」「電車」を使い分けている……そんな地元ネタを,短歌に詠んでみたかったのです。
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