
ミライ姐
元々あったの?

アルド
古くから必要性が議論されていましたが,正式な文字として採用されたのが2017年のことです。

塾生
世界で最も新しい文字かもしれませんね。

アルド
さて,その文字とは「エスツェットの大文字」です。

塾生
エスツェット?

アルド
ドイツ語独特の文字でßと書き,サ行の音を表します。ギリシャ文字のベータとは異なります。

塾生
なぜこんな文字が生まれたのですか?

アルド
元々はs(エス)とz(ツェット)の合字でした。ただし,1941年1月3日に廃止されたフラクトゥールという独特の字体でのことです。

ミライ姐
普通の字体になじむように改良されたのがßなのね。

アルド
現在の正書法では,長母音または二重母音の後ろでのみßを使います。旧正書法ではそうでない場合もあり,1998年の正書法改革の際はßの使用頻度が減ることで注目されました。

ミライ姐
元々は小文字しかなかったのね。

アルド
長母音または二重母音の後ろでのみ使うため,語頭にßが現れることはありません。よって大文字は公式には存在していませんでした。

塾生
それでも,全文を大文字で書く機会も多いですよね。

アルド
非公式な大文字も古くから存在していましたが,基本的には代替表記としてSSと書くことが規範とされていました。あるいは仕方なくßのみ小文字で書くこともあったようです。

ミライ姐
中にはssとß以外共通の単語もあるんじゃない?

アルド
ありますね。例えばMasse(マッセ/塊)とMaße(マーセ/大きさ)などがあります。これをどちらもMASSEと表記すると混乱しますね。まあ,スイスではßを使わずどちらもMasseですが。

ミライ姐
大文字もあったほうがいいわよね。

アルド
ちなみに大文字のßはUnicodeにU+1E9Eとして収録されているとのことです。
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