アルド
私は語学ヲタとして毎日様々な文字を見ていますが,地球上には文字を持たない言語も多くあります。
ミライ姐
文明の発達とともに,文字の需要が生まれたのね。
アルド
文字を持つ言語であっても,最初から完成されたわけではありません。例えば現代日本語では固有名詞などを除き,ひらがなの「ゐ」「ゑ」が廃止されました。
ミライ姐
今でも名付けには使えます。
アルド
さて,イタリア語のîも近代以降に廃止になった文字です。
ミライ姐
日本語のローマ字で,長音を表すときに使うことがあるわね。
アルド
この記号は英語でサーカムフレックス(circumflex)といいます。イタリア語ではチルコンフレッソ(circonflesso)といいます。
ミライ姐
今は廃止されている文字ね。どんなときに使っていたの。
アルド
例えばアクセントのない-ioで終わる男性名詞の複数形の語尾を-îと表現していました。今では単に-iとします。
塾生
アクセントがないのに記号があるのは混乱します。
ミライ姐
実用性はあったの?
アルド
例えば同音異義語を識別する用途がありました。例えばprincipio(プリンチーピオ/原理)の複数形が,古くはprincipî(プリンチーピ)で,現在はprincipiと書きます。一方,principe(プリーンチペ/王子)の複数形はprincipi(プリーンチピ)です。
ミライ姐
アクセントの位置が異なるけど,綴りのprincipiは同じなのね。
アルド
中にはアクセントの位置まで同じ単語もあり,単数形がどちらのパターンか区別するために-îを用いたようです。
塾生
廃止しても問題なかったのですか?
アルド
綴りが同じになる単語はそれほど多くはありません。私もイタリア語の学習歴は長いですが,困ったことは一度もありません。
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