今回は「3つの辺の長さ」が確定した場合の三角形の面積の求め方を紹介します。
式変形を学ぶための公式ね。
まずは基本となる「2つの辺の長さと,その挟む1つの角度」が確定した場合の三角形の面積を復習しましょう。
$$S=\frac{1}{2}bc\sin A$$
今回は3辺の長さ\(a\), \(b\), \(c\)が与えられているものとします。3辺の長さが確定すると,残りの角度は余弦定理から求めることができます。ここでは角度\(A\)を求めておきます。
$$\cos A=\frac{b^{2}+c^{2}-a^{2}}{2bc}$$
これを面積\(S\)の式に代入しましょう。
$$S=\frac{1}{2}bc\sin A$$
$$=\frac{1}{2}bc\sqrt{1-\cos ^2 A}$$
$$=\frac{1}{2}bc\sqrt{1-\left( \frac{b^{2}+c^{2}-a^{2}}{2bc}\right)^{2} }$$
$$=\frac{1}{2}\sqrt{b^{2}c^{2}-\frac{(b^{2}+c^{2}-a^{2})^2}{4}}$$
$$=\frac{1}{4}\sqrt{4b^{2}c^{2}-(b^{2}+c^{2}-a^{2})}$$
この式でもよいのですが,もう少し簡潔にしてみましょう。例えばルートの中身を因数分解するとこうなります。
$$S=\frac{1}{4}\sqrt{4b^{2}c^{2}-(b^{2}+c^{2}-a^{2})}$$
$$=\frac{1}{4}\sqrt{ (2bc+b^{2}+c^{2}-a^{2} )(2bc-b^{2}-c^{2}+a^{2} }$$
$$=\frac{1}{4}\sqrt{ \{(b+c)^2-a^{2} \} \{a^{2}-(b-c)^2\} }$$
$$=\frac{1}{4}\sqrt{ (b+c-a)(b+c+a)(a+b-c)(a-b+c) }$$
$$=\frac{1}{4}\sqrt{ (a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c) }$$
きれいな式ね。
この式を\(2s=a+b+c\)を使って書き換えた式はヘロンの公式と呼ばれています。私は一度も実務で使ったことはありませんが。
$$S=\frac{1}{4}\sqrt{ (a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c) }$$
$$=\frac{1}{4}\sqrt{2s(2s-2a)(2s-2b)(2s-2c)}$$
$$=\frac{1}{4}\sqrt{16s(s-a)(s-b)(s-c)}$$
$$=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$$
この式も簡単な形ですね。
ところで「3つの辺の長さ」が確定した場合の三角形の面積の式は,これ以外にもいくつかの形があります。次回説明しましょう。
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