
アルド
前回,音楽用語のフェルマータを取り上げましたが,今回はピアノ(piano)という用語を取り上げます。

ミライ姐
楽器の名前,または「弱く」の指示記号ね。

塾生
一般的なイタリア語でも「弱く」の意味ですか?

アルド
一般的には形容詞として「平らな」「平易な」,副詞として「ゆっくりと」「小声で」の意味があります。

ミライ姐
「小声で」の意味が,音楽用語の「弱く」に近いわね。

アルド
音楽を聴くのが生演奏だけの時代には,音に強弱を付けて表現していたのですね。今では音楽プレイヤーの音量などを自由に変えられますが。

ミライ姐
ところで,楽器のピアノも「弱い」楽器なの?

アルド
楽器のピアノは,ピアノフォルテ(pianoforte)が短縮された名前です。略号がPfなのはそのためです。

ミライ姐
ピアノ(弱く)の反対がフォルテ(強く)ね。

アルド
元々は「弱い音も強い音も出せるチェンバロ」という意味のClavicembalo col piano e forteと呼ばれていました。これがピアノフォルテ,さらにピアノと短縮されて呼ばれるようになったのです。

塾生
複雑だあ。

アルド
ピアノが短縮形であることは,英文法で重要な意味を持ちます。英語ではoで終わる名詞の複数形の作り方が少し煩雑です。
語尾oの直前 | 意味 | 単数形 | 複数形 | 備考 |
---|---|---|---|---|
母音 | スタジオ | studio | studios | sだけを付ける |
子音 | ピアノ | piano | pianos | sだけの場合と esの場合がある |
トマト | tomato | tomatoes |

アルド
英語ではoで終わる名詞のほとんどが短縮形や外来語です。古くから使われている単語はesを,短縮形や比較的新しい外来語にはsだけを使います。

塾生
ピアノは短縮形かつ比較的新しい外来語なのですね。

アルド
ほとんどはsだけを付けて,一部だけesを付けるものがあると覚えておきましょう。
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