アルド
前回は糸魚川市歌地区の羽黒神社境内にある松田先生の碑を紹介しました。実は,この羽黒神社には珍しい特徴があります。
ミライ姐
羽黒神社は全国に存在する神社よね。
アルド
現在の山形県鶴岡市にある羽黒山が由来ですね。しかし,歌地区の羽黒神社にはもうひとつ「松倉神社」という名前があります。
ミライ姐
「羽黒神社・松倉神社」なのね。
塾生
松倉とは何ですか?
アルド
松倉とは糸魚川の人と言われています。天保の大飢饉が起きたとき,糸魚川の松倉さんという人が歌村を救ったことから,神として祀るようになったそうです。
塾生
人を神として祀るのですか?
アルド
日光東照宮は徳川家康を祀っていますが……何か?
ミライ姐
天保の飢饉は江戸時代後期の1833(天保4)年から,1839(天保10)年まで続いたのね。原因は大雨や冷害による農作物の大凶作。多くの人が餓死したのよね。
アルド
小さな村とはいえ,神として祀られるほどですから相当な援助があったのですね。ちなみに私の家の過去帳には天保年間に亡くなった方が3名記載されてますが……天保3年,天保14年,天保15年と,天保の大飢饉の時期を見事に避けています。
ミライ姐
松倉さんは歌村の人に慕われてきたのね。
アルド
今では人口減少で祭礼も縮小を余儀なくされていますが,昔は獅子舞や獅子乗りが行われていました。獅子乗りのクライマックスで,若君はこんな口上を述べます。
通行人A
松倉様の御力を借り,唐,天竺までも攻め上り,この獅子止めて功名見せん。
塾生
なんかカッコいい。
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