アルド
中国語を勉強すると,日本語と異なる意味の熟語がいくつも出てきます。
ミライ姐
手紙(手纸)と書いてトイレットペーパーとか,愛人と書いて配偶者とか,よくネタにされます。
アルド
漢字単独の意味からかけ離れた意味になる熟語もあります。例えば東西(簡体字では东西)です。
塾生
東と西でトウザイではないのですか?
アルド
東と西という意味ならdōngxī/トンシーと発音します。しかし,語尾を軽くdōngxi/トンシと発音すると,品物という意味になります。例えば買東西(簡体字では买东西)は「買い物をする」の意味になるのです。
塾生
なぜ,このような意味になるのですか。
アルド
東という漢字は,棒に荷物を縛り付けた様子を描いたものです。東という漢字を分解すると,日の部分が荷物で,横棒や払いは風呂敷や袋を結んでいる部分を描いたものになります。
ミライ姐
「ヒガシ」の要素はないわね。
アルド
東という字の元の意味である「縛った袋」と,方角の「ヒガシ」は古代中国語では類似の音でした。そのため発音が似ている東という字を,方角の「ヒガシ」の意味でも使うようになったそうです。
塾生
現代ではテストで当て字を書いたら間違いにされるのに。
アルド
元々別の意味の漢字に,音だけを当てはめて新しい意味を持たせることを仮借(かしゃ)と呼びます。例えば我(われ)という字も,元々は矛(ほこ)の一種を指す漢字でした。
塾生
話を聞いていると,西という字がハンドバッグに見えてきました。
アルド
すごい想像力ですね。西という漢字は,ザルやカゴを描いたものです。ザルやカゴの隙間から水が流れ出る様子を太陽に見立てて,太陽が沈む方角の西を表したようです。
ミライ姐
どちらの字もいれものを指しているのね。そのため熟語として使われると,品物の意味になるのね。
塾生
漢字は複雑だけど,面白いなあ。
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