議論と論議の違い（韓国人は漢字を学べ・第31話）

議論と論議のように，漢字が逆順で，似たような意味の言葉が気になります。

今回は新明解国語辞典（第八版）で調べてみましょう。ちなみに，第八版あとがきに名前が載っている三省堂の荻野真友子さんは，糸魚川市のご出身です。

やっぱり似ている。

それでは漢字の意味を考えてみましょう。

例えば，「異議申立て」の議の字は「意見」という意味，「論文」や「理論」の論の字は「考え」という意味ですね。

中国語の語順をSVOとすると，動詞の議と名詞の論なら「考えを話し合う」の意味になるし，動詞の論と名詞の議なら「意見を批判する」の意味になるわね。議論は客観的に話し合おうとするイメージになるし，論議ならはげしいイメージになるわね。

さて，韓国語の辞書を引くと，日本語の論議に相当する単語は，同じ漢字で논의/nonui/ノニとなります。韓国語にも의논/uinon/議論という単語はありますが，의논の意味は「相談」とあります。

全然違う！

それでは日本語の議論に相当する韓国語は……논의/論議……です。

韓国語では客観的だろうと，はげしかろうと，意見を言い合うことはすべて논의なのね……

歴史問題で日韓の話し合いがこじれる（韓国が一方的にひっくり返すほうが多い？）のは，このせいかな？

最後に韓国語の発音について解説です。의の文字は二重母音のウイですが，子音の後では短母音のイになります。

논의の末尾のn音が後ろの의と同化して，音節だけを書くと노늬となりますが，늬は「ヌイ」ではなく「ニ」と発音します。

1か月にわたり連載してきた「韓国人は漢字を学べ」はひとまず終了です。

ご要望がありましたら第2シーズンも予定します。