はじめに

2025年2月は28日かけてタイ文字の記事を投稿します。

第3週はタイ文字と声調記号の基本を理解することを目的とします。

第3週の第1回は中子音字と声調記号を学びます。ただし,平音節に限定します。

促音節はルールが異なるのね。

その通りです。まずは平音節で学びましょう。
タイ文字の声調記号・全4種

タイ文字には声調記号が4種類あります。

ということは,4種類の声調記号と記号なしの全5パターンで,5種類の声調を全部表現できるのね。

それはそうなのですが,声調と声調記号は一対一ではないのです。

ふざけていますね。

本当に理不尽です。ただし,中子音字で平音節の場合は,声調と声調記号が基本的に一対一です。したがって,本日の講義は簡単ですが,次回以降の声調と声調記号の講義は……

修羅ですね。

とりあえず,声調記号4種類を見てみましょう。なお,声調記号は子音字の上に付けます。また,初級段階で覚える必要はないですが,記号の名称と形は数字の1から4に由来するので,参考に示します。
記号 | タイ文字 | 記号の名称 | 記号の形の由来 |
---|---|---|---|
第1声調記号 | ก่ | máy èek | 算用数字の1 |
第2声調記号 | ก้ | máy thoo | 算用数字の2をデフォルメ |
第3声調記号 | ก๊ | máy trii | 算用数字の3を回転 |
第4声調記号 | ก๋ | máy càttàwaa | 算用数字の4の一部 |

記号の由来は算用数字なのね。第4声調記号はプラスの記号ではなく,算用数字の4から斜線部を除いたものなのね。

記号の名称の後半部分は,インド・ヨーロッパ語族における数詞に近いですね。

第2と第3のthooとtriiは,おそらく英語のtwoとthreeと同語源よね。

その通りです。

算用数字が語源だと思えば,形を覚えるのは簡単ですね。
中子音字,平音節と声調記号

それでは中子音字に声調記号を付けてみましょう。まずはกา(kaa)を例にします。声調はmid, low, fall, high, riseの順に「記号なし」「第1」「第2」「第3」「第4」となります。
順番 | 声調記号 | 声調 | 発音 | タイ文字 |
---|---|---|---|---|
1 | 記号なし | mid | kaa | กา |
2 | 第1声調記号 | low | kàa | ก่า |
3 | 第2声調記号 | fall | kâa | ก้า |
4 | 第3声調記号 | high | káa | ก๊า |
5 | 第4声調記号 | rise | kǎa | ก๋า |

記号なしが最初にあることにより声調の順番と声調記号の順番がずれるので,声調は「第何声」のような呼び方をしないのですね。
声調記号の注意点

声調記号は子音字や母音記号よりも上に書きます。例えばกี(kii)のように子音字の上に母音記号がある組合せの場合,声調記号はさらに上に書きます。
発音 | タイ文字 | 声調 |
---|---|---|
kii | กี | mid |
kìi | กี่ | low |
kîi | กี้ | fall |
kíi | กี๊ | high |
kǐi | กี๋ | rise |

ノートを取るときに,余白を考えないといけないわね。

また一部短母音+末子音の組合せで使われるก็の記号は声調記号と両立できません。例えば声調記号のないเกน(keen)とเก็น(ken)は区別できますが,第1声調記号を付けたkèenとkènのタイ文字表記はどちらもเก่นとなります。

単語ごとに長母音か短母音かを覚えなければならないのですね。

これらの注意点は高子音字や低子音字でも同様です。

でも……声調と記号の組合せは中子音字と異なるパターンになるのよね。

理不尽ですが仕方ありません。順番に覚えましょう。というわけで,次回は高子音字と声調記号の組合せを学びます。
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