私は高校時代,英語の実力が学年3位でした。しかし英語嫌いで他の外国語学習に熱中していました。
予習サボりの常習犯だったそうね。
高校卒業後,浪人生となり富山県内にある大学受験予備校に入校しました。富山県は公立高校のレベルが高く,いわゆる超進学校の出身者も多かったため,予備校では平均より下のクラスになりました。
高校ではお山の大将だったのにね。
予備校の英語講師は,富山県トップクラスの高校から,誰でも名前を知っている有名大学に進まれた方で,社会人経験を経て予備校講師に転身されたそうです。
高校ではお山の大将だったけど,アルドさんはどこまで通用したものか。
第1回の英語の授業で衝撃を受けました。黒板にこんな英文が書かれました。
I like dog.
「私は犬が好きです」ですよね。
日本語に直訳するとそうなります。しかし,この文での「犬」とは何だと思いますか?
毛むくじゃらで,脚が4本あって,ワンと吠えるもの……
と思うのでしょうが,実は違います。毛むくじゃらで,脚が4本あって,ワンと吠えるものであれば”I like dogs.”のように言わなければならないのです。
単数形はダメなの?
単数形と言うよりは,無冠詞で使うのが問題なのです。例えばa dogなら「どれでもいいからとりあえず1匹の犬」が好き,the dogなら「今話題に登ったあの犬だけ」が好き,the dogsなら「世の中のすべての犬」が好き,という意味になります。
無冠詞で複数形のdogsなら「犬一般」が好きという意味になるのね。
冠詞や複数形のsがつくと,毛むくじゃらで,脚が4本あって,ワンと吠えるものという具体的な形がイメージできるものになります。しかし,無冠詞単数形では具体的な形が決まりません。あえて日本語に訳すと「犬そのもの」でしょうか。
犬そのもの……まさか……肉?
毛皮かもしれないわよ。
そうです。犬そのものとは通常は肉ですね。場合によっては毛皮かもしれませんが。
つまり”I like dog.”は「私は犬の肉が好きです」という恐ろしい意味になるのですね。
英語圏の国々では犬を食べる習慣がないので,”I like dog.”と言ったら,聞いた人はパニックになるとも言われますね。
冠詞や単数・複数の区別は,正確な表現のために重要なのね。
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