ミライ姐
外国語の文学先品から有名なフレーズを紹介するシリーズ。今回はロシアの劇作家チェーホフ(Чехов)の戯曲『かもめ』(Чайка)を取り上げます。
アルド
作中で何度か繰り返される印象的なセリフです。短いのですぐ覚えられますよ。
通行人A
Я — Чайка.
通行人A
私はかもめ。
アルド
ヤー チャイカ。
ミライ姐
かもめが印象的な存在として出てくるのね。
塾生
間にある横棒は何ですか?
アルド
これはダッシュという記号です。ロシア語には英語のbe動詞のような「つなぎ言葉」がないため,書くときにはダッシュを使う場合があります。Яのような代名詞の後であればダッシュは省略可能ですが,この戯曲はダッシュを表記しています。
ミライ姐
2つの単語を並べるだけで「AはBである」の意味になるのね。ちなみに,つなぎ言葉のことを文法用語ではコピュラ(copula)とも言うわね。
アルド
さて,チャイカとは「かもめ」以外にもウクライナ系の姓でもあり,物の名前や愛称などでもよく使われます。例えば旧ソ連の宇宙飛行士テレシコワ(Терешкова)のコールサインで使われています。
ミライ姐
コールサインとは,無線通信局を識別するための名前ね。通信の際は「こちらチャイカ」と発言してから要件を話すよね。
アルド
そうですね。宇宙での第一声がまさに「こちらチャイカ」でした。ロシア語に訳すとこうなります。
通行人B
Я — Чайка.
塾生
「私はかもめ」と同じだ。
アルド
日本ではチェーホフの戯曲『かもめ』のセリフとからめて紹介されたようです。
ミライ姐
宇宙で「かもめ」というのも趣があっていいわね。
塾生
ヤー チャイカ。
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