ヒトの手の指（第1話）

言語によって物の区切りは様々です。今回から4回シリーズでヒトの手の指を表す単語を見ていきましょう。

英語ではfingerだけど，親指はthumbというわね。確か足の指はtoeという別の単語だったわね。

日本語でも足の指は「趾」という別の漢字を使うことがあります。

みなさんにおなじみの単語といえば「外反母趾」ですかね。

さて，ヒトは年齢，性別，人種などによらず，一般に左右5本ずつの指があります。

日本語では「親指」「人差し指」「中指」「薬指」「小指」です。

それでは今回は英語，ドイツ語，ロシア語と比較してみましょう。まずは英語です。

続いてドイツ語です。

最後にロシア語です。

英語ではThumbとFingerを区別しますが，ドイツ語でもDaumenとFingerを区別しているようですね。

総称であることが明らかである場合はFingerを使っても差し支えないようです。英語のThumbもドイツ語のDaumenも「強い」が語源です。

確かに，親指は他の指よりも力を必要とする作業で使うことが多いと思います。

人差し指や中指は日英独露とも似たようなものね。

英語とドイツ語では薬指を「指輪の指」と表現するのに，ロシア語では「無名の指」って，やる気を疑いますね。

日本語でも，薬指のことを古くは「名無し指」と呼んでいました。

それは知りませんでした。

多くの文化で，薬指には魔力があると考えられていたようです。指輪を薬指にはめるのも魔力に関係するものですね。逆に，魔力がある薬指の名前を直接呼ぶことを避けようとすると，名無し指になります。

なるほど。

ロシア語では英独と逆に，小指が特別な単語なのね。

ロシア語のМизинецは「小さな子ども」が語源のようです。

手指を使う作業は似たようなものなのだろうけど，人類の文化って奥が深いわね。