
アルド
先日,私は親戚の法事のため祖母の実家を訪れました。仏間の鴨居には遺影や賞状などが飾られるのが一般的ですが,短歌を書いた色紙に気づきました。

ミライ姐
昭和53年歌会始入選歌……1978年ね。

アルド
勝手知ったる祖母の実家と思っていましたが,まさかこのようなものがあるとは思いませんでした。

ミライ姐
この家の関係者が入選したの?

アルド
近所の人だそうです。ちなみに佳作入選なので,皇居に招待されて歌が披露されたわけではありません。

通行人A
お題「母」
母の遺髪千人針に縫ひこめて征けりしこともはろかとなれり
(加藤義平)

塾生
千人針って何ですか?

ミライ姐
一枚の布に多くの女性が糸を縫い付けたもので,戦時中に銃弾よけのお守りとして作られていたの。

塾生
つまり,母の遺髪で作った千人針を持って戦争に行ったけど,もう昔のことだなあ,って意味ですね。

アルド
そうですね。「はろか」は「はるか」と同じ意味です。私は最初,誤植かと思いましたが……

ミライ姐
入選した人が色紙に歌をしたためて,近所に配ったのね。

アルド
加藤氏は町の教育長も務めた方で,地元歌壇でも活躍しました。実は,糸魚川市内には加藤氏の文学碑もあります。次回,紹介しましょう。
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