秦の始皇帝の話をするそうだけど,始皇帝といえば焚書坑儒でおなじみの独裁者よね。
中国史上初めて全土を統一したため,手本となる前例がいなかったので,とりあえず焚書坑儒してみた……きっと悪気はなかったと思います。
権力を手に入れると,人は変わるのね。
そんな始皇帝ですが,現代にも通じる改革を行っています。
悪い人を懲らしめることですか?
焚書坑儒にあった人は,別に悪い人じゃありません。
例えば車輪の幅を統一したことですね。現代のようにアスファルトやコンクリートで舗装された道路があるわけではありません。土に残った車輪のくぼみ跡を轍(わだち)といいますが,轍に沿って移動しやすいように幅を統一したのです。
しかし,現代では大型車も小型車もあるので,雪道ではうまく轍に沿えません。
それはともかく,本日のテーマ。始皇帝は漢字の字体を統一しました。
それまで文字は統一されていなかったのですか?
占いで甲骨文字を使っていたのを知っていると思いますが,古代は占いと政治が一体でした。ちなみに,政という字は「まつりごと」とも読みます。
つまり,文字は権力の象徴だったのね。そうすると,一般人が簡単に読み書きできないように,わざと難しい字や異体字を作り出していたのかしら。
その通りです。始皇帝は当時いくつもあった字体から,事務用の文字を統一しました。それまでの字体を大篆,始皇帝が統一した字体を小篆と呼びます。小篆は現代でも篆書体の代表例として判子などでよく使われます。
秦はそれで栄えるのですね。
秦はすぐに滅んだのよ。詳しくは,高校生になったら世界史の授業を選択してみてね。
そして残念なことに,始皇帝が統一した小篆ですら次第に崩し書きされ,隷書という書体が生まれました。秦の次の王朝である前漢では,篆書が公式に採用されました。
その後さらに草書体などの字体が生まれるのよね。人類は本能的に文字を難しく変えたくなるのかな?
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