ナチス・ドイツといえばオーストリアを併合してトラップさんを翻弄したり,ホロコーストを推進してフランクさんや杉原さんを翻弄したわね。
トラップさんは『サウンド・オブ・ミュージック』の一家,フランクさんは『アンネの日記』の作者,杉原さんは「命のビザ」で知られる外交官ですね。
ナチスのトップ,アドルフ・ヒトラーは,元々画家志望だったけど,色々あった末に,体制側のスパイとしてドイツ労働者党に潜入したそうね。でも議論が上手だから逆にスカウトされて入党したという異色の経歴の持ち主ね。このドイツ労働者党が,みなさんおなじみ,後のナチスね。
さて,ドイツ語では,英語のアルファベットに4文字(ä, ö, ü, ß)を加えた30文字を使います。今は英語と同じ字体を使いますが,古くはフラクトゥールという独特の字体が使われていました。
日本語では亀甲文字とも呼ぶわね。冒頭の画像のように,亀の甲羅に似た模様で,読みにくく書きにくい文字ね。
1つ目はゲーテの言葉です。
Wer fremde Sprachen nicht kennt, weiß nichts von seiner eigenen.
「外国語を知らない者は,自分自身の言語について何も知らない」
2つ目はグリム童話『白雪姫』に登場するセリフです。
Spieglein, Spieglein an der Wand : wer ist die schönste Frau in dem ganzen Land?
「鏡よ,壁の鏡よ,この国で一番美しい女は誰?」
3つ目はこんな文です。
Leck mich im Arsch!
申し訳ありませんが,当寺子屋は下ネタ禁止です。興味のある方は検索してみてください。
なお,モーツァルトが作曲した声楽曲のタイトルなので,ご安心ください。
現代では看板や数学記号などで時々見かける以外,フラクトゥールを常用することは稀です。公式に廃止されたのは1941年1月3日ですが,廃止したのがナチスなのです。
様々な理由があったとされるけど,ナチスの公文書には「ユダヤ人の文字だから」って書いてあるそうね。
ところでフラクトゥール廃止を伝える文書は,当然,普通の字体のドイツ語で印字されていますが……元々使っていた公文書用の用紙に印字しているようなので,あらかじめ印字されているナチスの党名などはフラクトゥールのままです。
ナチスは意外にも詰めが甘いね。
国によってはナチスの鉤十字の使用が禁じられているため,ナチスの文書の画像は掲載を控えさせていただきます。興味のある方は検索してみてください。
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