チンは国家なり

外国語の名文を紹介するシリーズ，今回はフランス国王ルイ14世を象徴する言葉です。

レタッ，セモワ。

短くて覚えやすいのはいいのですが，朕という漢字が難しいです。

チンと読みます。国王などが「私」「我」の意味で使います。

現代ではなかなかお目にかからない単語ね。あるとすれば歴史小説やファンタジー小説かしら。

昭和天皇の玉音放送の冒頭で使われていますね。戦後はほとんど使われなくなりました。ただし，日本国憲法の上諭（公布を許可する言葉）に記載があるため，朕という漢字は現在でも常用漢字に入っています。

ところで，ルイ14世は何をした人ですか？

官僚制強化，中央集権化を推進し，絶対王政と呼ばれる政治体制でフランス（ブルボン朝）を支配していました。

史実ではありませんが，哲学者ヴォルテールの逸話によると，高等法院に「国家と民のためにならない」と言われ，「民だけでよい。朕こそが国家だ」と言ったとされています。

なので「ルイ14世の言葉」ではなく「ルイ14世を象徴する言葉」と紹介したのね。